第3回 - VBScriptの文法 (Part 1)

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今回の目標
仕様を作成するのに必要な、VBScriptの最低限の文法を覚えます。
長くなるので2回に分けています。

今回と次回はVBScriptの文法の基本的な内容を理解します。
まずは仕様を作成するのに必要な最低限の文法を覚えます。今回と次回とで説明しない部分は仕様をある程度作成した後で改めて解説します。最初に基本的な範囲からです。

大抵のプログラミング言語に共通して使われる重要な概念がいくつかあります。

これら以外の重要な概念として制御構文がありますが、これについては別の回に説明します。

今回と第4回の2回に分けて、上の4つの概念について説明します。


変数

変数は、数値や文字列など任意の情報を覚えておく場所のことです。
例えば、住所録で言えば、名前や住所、電話番号など(さらに生年月日、血液型などを登録できるものもあるでしょう)、アプリケーションが操作・閲覧する情報は変数として記憶します。

プログラミングの世界では、よく文字列という言葉を使います。一般にはあまりなじみのない言葉ですが、「(意味があるかどうかに関わらず)文字の並び」のことです。例えば、「プログラミング」という文字の並びは意味がありますが、「ihmklojg」という文字の並び(目をつぶって適当に打ってみました)は意味がありません。しかし、どちらも文字が並んでいるので文字列と呼ぶことができます。
1, 2, 3,...などは、状況に応じて数値として使われることも文字として使われることもあります。例えば「いち」を表す文字としては、1、一、Tなどいくつかのものがありますが、いずれも概念としては「ものが一個ある」ことを示すことができます。このように概念を意味する場合には数値として扱い、それの表現方法としての1、一、Tなどは文字ということになります。

ここまでの説明で、数値・文字・文字列などという言葉が出てきました。一般にプログラミング言語は、変数の型というものを持っています。言語によって多少違いがありますが、

などがあります。なお日本語では変数といいますが、数を覚えるためだけにあるわけではありません。
VBScriptは言語仕様を簡単にするため、Variant型というただ一つの型を持っています。目的に応じて整数にも小数にも文字列にも自由に使える型と言い換えてもいいでしょう。詳細は公式のドキュメントにゆずりますが、VBScriptのVariant型は数値や文字列の他にも、ブール(True / False)、通貨、日付などを表すことができます。

VBScriptでは変数は、

のように記述します。これでMyNameという変数を用意したことになります。
この場合は、多分自分の名前を覚えておく変数として使うものでしょう。このように、変数には目的にあった名前をつけるのが普通です。そうしないと、何のために使うのか後でわからなくなります。

数値は1, 64などのように表したい値そのものを入れ、文字列は"Hello"のようにダブルクォーテーションで囲んで表します。


定数

定数とは、アプリケーションの動作を通して変わらない値のことをいいます。
例えば、「日本の首都」は(遷都しない限り)「東京」です。「ユーザーの名前」はその時によって異なるでしょうが、「日本の首都」は、いつ、誰にとっても同じです。このような値は定数として扱います。

一般にプログラミング言語は定数を表す方法を持っていますが、VBScriptにはありません。このため変数を代用することになります。

のように記述します。「 = 」は説明していませんが、この場合は「Tokyo」という文字列の代わりにCAPITALという定数を用いることを示しています。定数であることをはっきりさせるために、普通は大文字だけを用います(先ほどのMyNameと比べてください)。
ここで大事なのは、プログラム中では「Tokyo」の代わりにCAPITALを用いることです。もし、「Tokyo」ではなくて「東京」としたい場合には、

というように一行だけ書き換えればいいことになります。もし、プログラムのあちこちに、"Tokyo"が散乱していたら、検索して全てを置き換えなければなりません。不変の値がある時には定数を用いるようにします。

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